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また、教育方針における専門部門の目標として、「地域主義を推進し、豊かで活力ある長寿社会の実現に寄与する都市に関する諸々の専門的知識と、都市問題を多面的に迅速・着実に解決することができる高度な情報処理能力の育成」であると位置付けている。これらの過程、学科、学部いずれも、国際化、高齢化、情報化、経済情勢の変化などの社会状況に対応しうる諸課題を自立的な地域で解きうる総合的な分析能力の要請を図ったものであろう。「地方の時代」とか「地域主義の推進」「自立的市民」という言葉を使用しているところが、その証左であるが、伝統的な学部内では学部の伝統的科目教百を中心に学際化の領域を拡大し、新設の学部の場合はいくつかの専門を対等に据え総合化を目指し、その範囲は拡大しつつあるところに特徴があろう。
(2)行政・経営管理志向
行政学にとっても経営学にとっても「管理」は最も重要な学問対象となる。しかも、社会が複雑になり様々な課題が生じるにともなって、それに向けてチャレンジしうる管理のあり方がますます問われることとなろう。
管理という対象に着目した学部、学科としては、日本大学法学部の管理行政学科が1964年に設置されている。「管理行政学科の名称は、経営や管理(マネジメント)の知識ならびに技術が、民間企業や行政体での効率的な業務遂行に欠かせない要求となっていることに応えて、経営・管理科目を専門科目として配列し、官民いずれの進路を選んでも指導力を発揮できることを表している」、この管理行政学科は、経営学専攻コースと行政コースの2つのコースに分かれている。したがって、経営と行政との総合化を正面から取り上げることよりも、経営と行政の分化を前提に、その領域より総合化を図ろうとしているところに特徴がある。
経営と行政との総合化を正面から取り上げた大学として、熊本県立大学の総合管理学部が1995年に開設した。その理念は次のように記されている。
「21世紀を目前にして、国際化、情報化、高齢化などが急激に進展する今日、社会的な諸問題はますます多様化し複雑化しています。このような時代には、広い視野を持ち、総合的かつ創造的に判断する能力が求められます。
総合管理学部は、このような時代の要請に応えるために設けられた学部で、法学や経済学など従来の専門分野の枠にとらわれず、それらをもっと広角的あるいは総合的に研究しようというものです。

 

 

 

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